空き家対策特別措置法が5月26日に全面施行されました。
全国820万戸に及ぶ空き家対策が本格的に始まります。
都市部ではピンと来ないかもしれませんが、近年の少子高齢化に伴う人口減少や都心回帰の動きによって地方では空き家が年々増加して問題となっています。
空き家の最大の問題はそれが個人の資産であるという点です。
個人の資産を勝手に撤去するわけにはいきません。
そこで施行されたのが空き家対策特別措置法です。
固定資産税が6倍になるかもしれない空き家対策特別措置法とはどのようなものか調べてみました。
空き家対策特別措置法とは
国土交通省のホームページに詳しい情報が掲載されています。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
空き家対策特別措置法とは要約すると市町村が調査出来るようになり、修繕・撤去の勧告や命令を出せ、場合によっては強制撤去も可能になるというものです。
空き家の厄介な点は個人の所有する敷地である点です。
外部と接していない庭などに勝手に入ると住居侵入罪になってしまいます。
なのでそもそも本当に空き家なのか調べることも出来ませんでした。
空き家対策特別措置法によって市町村に立ち入り調査の権限が与えられました。
この調査を所有者が拒むと20万円以下の過料が科せられることになる強制力のあるものです。
また空き家の場合、所有者が分からないことがあります。
改善や修繕をお願いしようにも誰の持ち物か分からないと困りますね。
所有者の調査のために不動産登記簿や住民票、戸籍謄本などが今までは利用できましたが、さらに固定資産課税台帳も利用して調べることが出来ます。
固定資産の評価を明らかにするために備えなければならない重要な台帳で5つの台帳の総称なので所有者を探すヒントになるかもしれませんね。
特定空き家とは
調査の結果下記に当てはまると特定空き家に指定されます。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
ポイントは周囲への影響ですね。
その空き家が存在することで周辺の住民に悪影響が出ていると判断された場合に特定空き家となり、所有者に対して修繕や撤去の勧告や命令が出せるようになりました。
またこの特定空き家に指定されてしまうと「固定資産税の住宅用地の特例」の対象から外されてしまい固定資産税が最大で6倍と跳ね上がってしまいます。
私たちが住むために利用している敷地は特例措置として税金が軽減されています。
特定空き家は人が住む敷地ではないので当然軽減措置も受けられません。
もっとも空き家が増える背景はこの特例が関係しているわけですが。
特定空き家ですが命令に従って修繕や撤去が行われない場合には、最終的に強制撤去されることとなります。
そして修繕や撤去の命令に従わなかった所有者には50万円以下の過料が科せれることになります。
なぜ空き家は増えるのか
なぜ空き家が増えるのか。
1つは「固定資産税の住宅用地の特例」も関係あるでしょう。
費用を出して住居を取り壊して更地で保有するよりも、家として保有する方が固定資産税が安いのですから当然です。
ただ本当に問題なのはこの空き家の土地も含めて売れないことです。
必要がないならその家を売ってしまえば空き家にはなりません。
ただ人口は減り続け、その人も都市部へ集まるようになっています。
売りたくても一部の人気の場所以外は売ることが出来ない状態です。
売ろうにも売れず、壊すにも費用が掛かり、更地にすれば固定資産税が6倍になる。
これでは空き家は増える一方ですね。
強制撤去も可能になった空き家対策特別措置法は画期的なものです。
しかし根本的な解決とはならないでしょう。
地域一帯を活性化させ、土地を有効に活用できるようになれば少しは空き家も減るとは思いますが難しい問題です。