全米オープンテニス2015の1回戦が行われましたが、第4シードで大会に臨んだ錦織圭選手は世界ランキング41位のブノワ・ペール選手にセットポイント2-3で敗れました。
前回決勝戦まで進出した錦織選手がまさか1回戦で敗れるとは私も驚きました。
ペール選手は簡単な相手ではなく難しい試合になりそうだとは思っていましたが、それでも錦織選手の勝利を疑ってはいませんでした。
試合を見ている時も「何だかもったいない選手だな」くらいの気持ちで見ていましたが、マッチポイントを握りながら逆転負けするとは。
錦織選手はペール選手になぜ敗れたのか、私なりに考えて見ました。
ブノワ・ペール選手という曲者
ペール選手は曲者という言葉がよく似合う選手ですね。
バックハンドに自信を持っていて、ドロップショットを多用する選手だというのは試合前に調べて知っていましたがここまで変則的なプレイヤーだとは知りませんでした。
フォアハンドで強打するような場面でもわざわざバックハンドに回り込んで打つ選手は本当に稀でしょう。
またベースラインからのドロップショットを多用する選手もほとんどいないでしょう。
隙をついた前に落ちるドロップショットは非常に有効な球ですが、後ろから打てばその分滞空時間が長くなるので相手選手は前に詰めることが出来ます。
しかも前に来れば攻撃的なネットプレーが出来るので本来不利になりそうですが、それでも多用してきましたね。
普通の選手とは違うことをしてくる選手ゆえに曲者というわけですが、対応出来ないほど変則的というわけでもなかったかと思います。
強力なバックハンドと変なタイミングで放ってくるドロップショットは手ごわいものですが、フォアハンドは雑でしたしフットワークも良くはありません。
試合を見ながら「もったいない選手」だなと思いました。
せっかく196cmの長身で腕も長いのにわざわざ体に近い所で打ちますからね。
バックハンドなど仰け反りながら打っていましたが、もうちょっと遠い打点で打てば守備範囲も広がりそうなのになと。
体に巻きつけるように放つ打球は鋭く威力もありましたが。
また横に走りながらのショットはフォア、バック問わず強力でしたね。
フォアが完全な弱点で無いのも厄介な部分だったかもしれません。
粗い所もありますが、華のある選手でもあります。
動画のプレーも凄いですね。
この咄嗟の股抜きはなかなか選択できないでしょう。
全米オープンも華のあるプレーで会場の雰囲気を持って行かれてしまった感じもありました。
錦織選手は攻めの意識が強すぎたか
一方の錦織選手は終始固かったですね。
シード選手として、昨年のファイナリストとして挑む全米オープンということで気負いもあったでしょう。
試合展開もペール選手のミスかスーパーショットで決まるものが多く、ほとんどラリーをさせてもらえませんでした。
常にペースを握られてやりづらかったでしょう。
見ていて思ったのは錦織選手は攻めの意識が強すぎたかなということです。
優勝候補の1人として注目される存在ですし、昨年の経験から体力の配分も考えていたと思います。
だからこそ早く勝つこと=攻めることを終始意識していたような気がします。
ただ普通の選手と違いバックハンドが得意で動きながらのショットも得意なペール選手を相手に攻めの姿勢で挑んだのは間違いだったと分析します。
錦織選手のストロークは世界トップクラスで、錦織選手の代名詞と言えるものでもあります。
しかし今回は相手のミスを待つ守りのテニスをするべきでした。
ペール選手は止まって遠い打点で打つフォアハンドが特に雑な印象を受けました。
苦手なフォアハンドにボールを集めれば恐らくミスが出たでしょう。
球は伸びますが威力もないため、ドロップショットだけ警戒すれば問題なく打ち勝てたでしょう。
あまり気持ちのいい勝ち方ではない上、こちらがより動かなければならない戦い方のため先を見据えて体力を温存したい錦織選手としては守りのテニスは出来なかったのかもしれませんね。
この全米オープンでは厳しい試合の中でマッチポイントを迎えた後に逆転されてしまったために、精神的に追い込まれてしまったのが敗因の1つだと思います。
ただしその前に攻めのテニスで相手の土俵で真っ向勝負を挑んだのが厳しい戦いとなった要因でもあると考えます。
なぜ負けたのかを考えると相性や戦略が悪かったとも言えますが、何より集中力を保ち続けたペール選手が強かったとも言えますね。
どんどん鋭くなるサーブは素晴らしかったです。
勝ち上がって同じフランスのツォンガ選手との対戦になっても面白いです。
応援したいと思います。