今盛んに議論されているのが消費税の軽減税率の問題です。
私達の生活に直結する問題でもあるので議論を尽くして最善の方法を探って欲しいと思います。
さてこの消費税の軽減税率ですが、逆進性を解決するための処置だとされています。
消費税の逆進性とはピンと来ませんが、どのようなものなのでしょう?
消費税の議論を知るためにも知っておきたいことですね。
消費税の基本的な考え方
消費税とは物品の購入やサービスの享受といった消費者の消費行為に対して税金を課した間接税の1つです。
1989年から実施された比較的新しい税金となります。
今では私達の生活に最も身近な税金となりました。
1997年より税率が5%になり、2014年に8%に税率が上がったのは記憶に新しいです。
国民の3大義務の1つである納税の義務の中で消費税は最もシンプルである意味で公平な税金です。
他に身近な税金として所得税があります。
こちらは応能負担の原則に基づいて課税されます。
個人が税金を負担出来る能力、すなわち担税力に応じて税金をそれぞれが負担するという考え方です。
例えば200万円の課税所得があると10%の税率が適用されるのに対して1000万円の課税所得があると33%の税率が適用されます。
数字だけ見れば不公平ですが所得の再分配機能を考えればより多くのお金を稼いだ人がその分多くの税金を払うのである意味公平です。
一方消費税は300万円稼いでいても1000万円稼いでいても一律で同じ税率を消費に課します。
数字の上では公平です。
ただ稼いだ額つまり使えるお金に対する税金の割合は、稼ぎが少ない人が多くなります。
消費税の逆進性とはこのように公平なはずの消費税の負担が所得の少ない人ほど大きくなってしまうことを言います。
消費税の逆進性とは
生活する上で欠かせないものを生活必需品と言います。
飲食料品、衣類、洗剤、衛生用品などが入ります。
これはどんな家庭でも必要で必ず消費しなければならないものです。
先ほど少し消費税の逆進性に触れましたが、消費の額が所得の額に応じて多くなっていけば逆進性は発生せず公平性が保たれます。
簡単に図を用意しました。
例えば年収1000万円の家庭が生活必需品として年間320万円消費するのと年収300万円の家庭が年間100万円消費するのでは、年収に対してほぼ同じ割合で消費することが分かります。
消費税は消費に対して公平に税率を課すのでこれなら公平ですね。
しかし実際は生活する上で欠かせない生活必需品の消費額は所得に関係なくあまり変わらないはずなのです。
スーパーなどでそんなに違うものを買うわけではありませんからね。
そうすると実際にはこうなります。
先程の例と違って年収1000万円の家庭が生活必需品として年間200万円消費するとして、年収300万円の家庭が同じように年間100万円消費するとすると年収に占める生活必需品の割合が変わってきます。
消費税は消費に対して公平に税率を課すために、割合で考えると年収が少ない人の税金の負担が大きくなります。
これこそが消費税の逆進性です。
さらに言えば時間にゆとりのない低所得者の方が出来あい品を購入する機会が増えて、食費はむしろ高くなる可能性さえありますね。
軽減税率で逆進性は解決出来るのか
この消費税の逆進性を解決するために導入が議論されているのが軽減税率です。
しかし軽減税率では逆進性は解決できないと言われています。
生活必需品の税率を下げれば一見解決出来そうですが、よく考えると高所得者もこの軽減税率の恩恵を受けます。
同じように生活必需品を買いますからね。
むしろ消費金額が上がる高所得者の方が有利になってしまうとさえされているのです。
消費税を後で還付する案も話し合われていますが、これもよくありません。
確かに所得によって制限を設ければ逆進性の解決は出来るかもしれません。
でもそもそも低所得の人を救う目的で行われるはずの還付は、一時的に国にお金を預けて返してもらう制度です。
ただでさえ生活が苦しいのに国に預ける余裕などあるはずもなく、使えるお金が減ってしまう点で矛盾が生じます。
個人的な意見ですが円安になって全体的に生活必需品の価格も上昇しました。
輸出が強い日本にとって円安が有利なのはわかりますし、円安によって大きく売り上げを上げた企業もあります。
しかし生活している分には円高の時の方が安く商品が買えて生活は楽だったような気がします。
経済政策によって円安になりましたが、その効果が多くの一般家庭まで及んでおらず苦しい生活を余儀なくされる人も大勢います。
この時期にさらに税率を引き上げ消費を締め付けるのはどうなのかなと思います。
時間がないからと議論を尽くさずに強引に進めるのではなく、引き上げ時期の見直しも含めて本当に国民のためになる案を出して欲しいと願っています。